茅ヶ崎で取り組まれている企業による社会や地域への貢献活動を聞いて、共有するヒアリングマラソン。本年度は市内50社程度を目安に、皆様の活動状況についてお話しをお聞きし、NPOとの交流や、行政とのかかわりを促していきたいと思います。ヒアリングに協力してくれる市内企業さん、是非お声かけください。
今回は、茅ヶ崎市民なら誰もが知っている本屋さん。長谷川書店さんです。店長は、長谷川静子さん。
茅ヶ崎市の本屋さん・本と文具は長谷川書店 - 長谷川書店 茅ヶ崎市の本屋さん・本と文具は長谷川書店
企業である長谷川書店さんが行う「読み聞かせ」活動について、どのような目的で、そしてどのような効果があるのか、お話しをお聞きするために訪問させていただきました。NPOサポートちがさきからは、益永律子代表、中野有子さん、茅ヶ崎市市民自治推進課の榎本さん、そして私(北川哲也)が参加しました。
Amazonや楽天など、いつでもどこでも本が手に入る時代。媒体も紙から電子へと移行しつつある今、街の書店が果たすべき役割をどのようにお考えなのか、率直にお伺いいたします。
「本を売らなくてはならない」
「それだけじゃなく、読書を通じて人を育てていかなくてはならない」
開口一番、長谷川さんは言いました。
書店である以上、本を売って、そこで働く人の生活を守り地域住民としての義務を果たすのが基本ですが、書店業界は決して潤っている状況ではありません。
こちらの表は日本著者販促センター(http://www.1book.co.jp/001166.html)の記事より引用させていただいておりますが、書店の大規模化、オンライン化によって、業界構造は大きく変わってきました。街の書店はどんどん減少し、既存の店舗も収益は右肩下がり。
ではなぜ読み聞かせを止めないのでしょうか?
長谷川さんは次のように言います。
「長谷川書店の店長になったとき、人の役に立つお店にしたいと思いました。日本は資源の乏しい国と言いますが、日本の国力を支えているのは人(人財)です。この国力を守るためには、人を育てる必要がある。本屋としてどのようにアプローチするかを考えたとき、本と人とのかかわりを大切にした結果、「読み聞かせ」に行き着きました。」
もう今回で181回目を向かえる読み聞かせ。デザイナーさんがデザイナーを志そうと思ったきっかけの本だったり、クリエイターさんのきっかけになった本の紹介をしてみたり、ときには絵本を映像とコラボレーションして流したり、読み聞かせのファンは着実に増えています。
「でも、やっぱり収益は上がらないんですよね(笑) それでも、子どもたちが『コロコロ』を気軽に変えることが街の書店が存在する意義だったりもすると思うんです。」
オリンピックが2020年に開催されることになり、景気が良くなることが期待されていますが、それでも地域の企業が今後どのように活躍するかは、真剣に向き合わなければならない課題のひとつ。
長谷川さんのお話しをお聞きしながら、自分たちの事業を再定義する時期にやってきているのかもしれない、と私自身1人の事業者として考えさせられました。
書店を通じて人を育てる事業。長谷川さんは、柔らかな雰囲気の下に情熱的な思いがあふれていることを感じる、そんな女性でした。
(文責:北川哲也)