茅ヶ崎で取り組まれている企業による社会や地域への貢献活動を聞いて、共有するヒアリングマラソン。本年度は市内50社程度を目安に、皆様の活動状況についてお話しをお聞きし、NPOとの交流や、行政とのかかわりを促していきたいと思います。ヒアリングに協力してくれる市内企業さん、是非お声かけください。
今回は、昨年茅ヶ崎に住宅型老人ホームをスタートさせたネオ・サミット茅ヶ崎さんと訪問。施設のコンセプトについてお聞きしつつ、今回は伊藤園さんとのコラボレーションを創出するために、当法人が仲介(ハブ)役としてお手伝いさせていただきました。
そこで、ネオ・サミット茅ヶ崎さんのご紹介と、伊藤園さんとのコラボレーション事業についてご紹介させていただきます。当法人のような中間支援型NPOが企業間取引でどのように機能するのか、企業活動の地域との関わりの重要性を知るにはとても良い事例ですので、少し丁寧にご紹介させていただきます。
神奈川県 茅ヶ崎市 住宅型有料老人ホーム ネオ・サミット茅ヶ崎 | 介護付有料老人ホーム ネオ・サミット茅ヶ崎 ケアレジデンス
今回お邪魔させていただいたネオ・サミット茅ヶ崎さんは、住宅型有料老人ホームという施設。厳密には住宅としての老人ホームと、介護付き施設としての老人ホーム(ケアレジデンスという名称)が併設されているのですが、今回は前者を対象に訪問いたしました。
どちらかというと、こちらは高級老人ホームといわれる部類。入ってみるとホテルのような施設で、「こんなところが茅ヶ崎にあったんだぁ」と私はとても驚きました。そんな施設ですが、コンセプトとしては地域とのつながりを非常に大切にしています。
3.11以降、海抜が10メートル未満の地域が非常に多い茅ヶ崎でも、津波への警戒が強まりました。特に国道1号線以南の地域は、津波の規模によってはすべて飲み込まれてしまう可能性もあります。
そこで、ネオ・サミット茅ヶ崎さんでは、施設の高さを津波対策で安全と言われる18メートルに設定し、近隣の方々が避難できるように屋上を避難場所として提供することにしました。そのため、茅ヶ崎市の津波避難場所(非難指定地域)として指定されています。さらに、マンホールトイレの設置や、敷地内の公園のベンチが緊急時のカマドになるなど、教訓を十分に取り入れていることが分かります。
また、環境への配慮も大切にしており、屋上には太陽光パネルを多数設置し、施設の電気は余裕で賄えるほどの発電が可能となっています。売電もしているとのこと。
屋上に上ってみたのですが、眺望が素晴らしく、入居者に会いに来たご家族がわざわざ屋上に上がりたいと思える施設にしています。
他にも農業工場というものを施設内に設け、研究所のような雰囲気すらあり、ワクワクしました。
さて、今回のエントリーはネオ・サミット茅ヶ崎の宣伝ではありません。伊藤園さんとのコラボレーションを成功させるためです。
伊藤園さんのCSR活動は、「茶畑から茶殻まで」というテーマで大規模な茶畑から品質管理のうえで茶葉を仕入れ、お茶から生ずる茶殻のリサイクルまでおこない、徹底した持続可能な事業活動に取り組んでいます。
茶殻リサイクル製品一覧 | 茶殻リサイクルシステム | 伊藤園
茶殻を使用しているので、名刺や封筒の匂いを嗅ぐとお茶の香りがします(!)。お茶の持つ殺菌作用や、香りの良さを活かしながら、環境対策にも力を入れいているわけですね。
また、おいしいお茶を日本中で飲んでもらいたいと、お茶の入れ方講座も開催しており、今回はこの講座をネオ・サミット茅ヶ崎さんで開催したいという意向を当法人が受け、その場をコーディネートさせていただいたというわけです。
多くの企業がセミナーや◯◯講座を開催しようとしていますが、なかなか場所や集客が難しく、低予算では実現しにくいのが実情です。一方で、そのようなセミナーや◯◯講座を自分たちの施設で開催してほしいというニーズもたくさんあります。
この両者がなかなかマッチングしないため、思うように進まないのが現状なのですが、当法人のような中間支援団体は地域の企業やNPOのニーズを把握することを心がけていますので、今回の伊藤園さんの申し出にすぐに対応することができました。
結果的に、伊藤園さんとネオ・サミット茅ヶ崎さんのマッチングに成功し、当法人としても地域に新たな価値を生み出すことができました。
今回成立した事業は10月の初旬~中旬のいずれかの日程で開催されます。
今回のように、企業(伊藤園さん)とNPO(当法人)の協働(マッチング)は、場合によっては企業と企業の協働(マッチング)を生み出す上で非常に有効に機能することがあります。最近は比較的規模の大きな企業が当法人のような中間支援型NPOを頼って、地域に根付いた活動を迅速にスタートする事例が増えています。
企業にとってNPOとの協働は、社会(地域)貢献と、企業活動でなかなかリーチできない領域にアプローチができるメリットの二つの側面があり、今後このような協働事例は、企業活動の規模の大小問わずさらに増えていくでしょう。
そのためにNPOとしては何が必要か、企業としては何が必要か、丁寧に準備することが大切なのだろうなぁと感じました。
(文責:北川哲也)